『ゆずの香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
3回水気を切ったゆずの千切りをまた水にさらす。
「本当にあってる?」
ここまで水に浸されて、本当に完成するのだろうか。
「次は灰汁を取るのか…」
後で使うであろう大量の砂糖に鳥肌でも立ちそうだ。今私は一人暮らし初の柚子ジャム作りに挑戦しているところだ。
いやーこれ、完成するのだろうか…
挑戦は人生において結構してきたつもりだったが、これほど不安だったのは久しぶりだ。
「あ、」
ポッカレモンを忘れてしまったことに、レシピを見ながら気づく。
「買いに行くか…」
結局妥協ができないのが自分だと察しながら、財布を手に取った。財布はフレッシュな匂いに包まれた。
ミストの香りはいつでもあるが
お風呂に浮かぶ柚子の香りは
温まる香り
柚子の香り
冬至
お風呂の中に
ポチャっ
柚子の香りに
包まれて
体もココロも
労わる
今年も…
終わりに近づくのを
感じ
すこし
さみしいね…
柚が浮く
お風呂に入れば
溶けていく
鼻が詰まって
匂いは謎で
柚よりも
アヒルがいいの
子供かな
それもまたまた
良いかもね
インフルには気をつけましょう。
私は少し前になったばかりです。
初めてのインフルでした。
ゼリーとうどんしか食べれなくて栄養失調という二次被害でクソしんどかったです。
お題『ゆずの香り』
スーパーなどでゆずがごろごろ売っていたり、ゆずの香りのバスボールなどが販売されているのを見ると、なるほど、冬だな…と思う。
私はそもそもお湯に長く浸かるのが好きではないため、温泉に行ったり、バスボールを買う機会はほとんどない。
ただ、前に行った動物園で、カピバラさんがお湯に浸かりながらゆずに囲まれていたのは可愛くて癒された。一体それになんの効果があるのか、今のところ興味を持って調べたことがなく不明だが、ゆずの香りは好きだ。柑橘系の、少し苦い香り。ゆずは、料理に入っていたりすると、かなり分かり易い。サッパリしていて、主張がかなり強いから。
例えば、たくさんの人混みの中でも、パッと見つけられる、そんな感じだ。
私本人も、何故か他人に見つかりやすいため、ゆずの気持ちは分かるつもりだ。
ところで、ゆずもお湯に浸かっている訳だが、ゆず的にはお湯に浸かるとどうなのだろうか。気持ちいいならいいな、と思う。
『ゆずの香り』
ちゃぷ、と水面が揺れた。
淡いゆずの香りが鼻腔をくすぐる。
無意識に息が漏れた。
「きもち……」
暖かなお湯と好きな香りに囲まれて、瞼が徐々に下がるのを感じる。
眠らないほどのぎりぎりのライン感で心を休めて、日々の疲れが消えていくのを感じていた。
柑橘系の匂いがふとした時に香る
あの夜世界が2人だけだと
錯覚した日がふわっとよみがえる
白く濁った冬の風呂
君と僕との1日の終わりを共に過ごす大事な時間
色んな約束をした、あの時間
そんな時間は何度も続きはしなかった
柑橘系の匂いが香る時蘇ってほしいのは
ゆずの香りに包まれた君と幸せな時間でした
世間はクリスマス。
街を出ると至る所でイルミネーションが煌めいていた。
美しさに見惚れている僕の前をカップルや親子連れが通っていく。
みんな笑顔で微笑ましい。
そんなとき懐かしい香りが頬をかすめる。
ゆずの香り。
あの子がお気に入りだった優しい匂い。
視線を向けてもあの子はいなかった。
そうだ、ここにいるはずがないだろう。
知っていたけど別れを受け止めるにはまだ日が浅くて。
ニコニコとまぶしい笑顔を浮かべる彼女を想い浮かべながら寒空の下、ただ歩いていた。
「ゆずの香り」
新しい香水を買った
ゆずの香りの香水を
ゆずの香りは君が好きって言ってたから
また君に「いい香りだね!」って言って欲しいから
…もしかしたら君が、戻ってきてくれるかもしれないから
ゆずの香り
私は温泉街に来ている。
あの人がいる温泉街。
年の離れた私の幼馴染。
あの人はとっても気さくで人当たりがいい。
だから、私にも優しかった。
誰にでも優しいけど、それだけ。
あの人からはゆずの香りがする。
いつもお風呂に入れているらしい。
あの人を表してるかのようなゆずの香り。
甘酸っぱい、あの人の匂い。
ゆず風呂というものに入ったことはあるだろうか。近頃はゆずプールなどというものもあるらしいが、ゆずの香りがいい具合に引き立ち、とても気持ちのいいものである。
ごめん嘘。ゆずの香りは多分いい。でも僕は入ったことがない。すみません、憶測で話しました。ただ、ゆずの香りの入浴剤を使用したことはある。でも、あまり覚えていない。ゆずの香りは他の柑橘系の果物とは違うのか。別にゆずがなければミカンでもオレンジでもいい気がするのだが。やはりそれは実際に体験した者だけが味わえる独特な風味というのがあるのだろうか。そもそも、ゆずは食べられるのか?まあ、食べられないとするとゆず農家は香りを楽しむためだけに生産していることになる。あまりに馬鹿馬鹿しい。
ゆずは食べるというイメージがあまりない。香りを楽しむのもいいし、食べて、未知の発見をしてみるのもいいかもしれない。
私はゆずの香りが嫌い。
ゆずの香りを嗅ぐと元カレのことを思い出しちゃう。
初めて元カレと二人で行った旅館で二人でゆずの浮かんだお風呂に入ったときのことが鮮明によみがえっちゃう。
あのときはずっと私だけを愛すって言ってくれたのに今では色んな女に手を出してる。
全部好きって言ってくれてたのにほんとは私の顔しか好きになってくれてなかった。
ずっと一緒にいるって言ってたのに全然私に会いに来てくれない。
初めて一緒にお風呂入ったときのことは全部嘘だった。
それに気づけない私もバカだった。
ゆずの香りがする
ああ、もう冬至なのか
1週間以上冬至は続く
私にしては珍しく昨日は早くに寝てしまった
今日はあったかくして本を読もう
電気の明かりが瞼に滲みて
頭が痛くなるけれど
本を読みたい
幸せはそこに生まれるから
ゆずの香り
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.12.23 藍
「君の考えはつまらない」
今日、上司に言われた言葉が、帰宅中も何度も頭の中をリフレインする。なにも皆の前で言わなくてもいいじゃないか。自分の提案を否定された悔しさと、皆にその現場を見られた羞恥心を同時に感じている。屈辱、無念、憤怒。あらゆる感情がぐちゃぐちゃになって私の中で渦巻いていた。
「ただいま」
もう仕事は終わって家路についたというのになかなか切り替えられない。どんよりした気分で家に上がると、先に帰っていた彼がリビングから顔を出した。
「おかえり。もうすぐでご飯できるとこだよ」
「あー、うん」
なんとなく、顔を見れなかった。彼はなんにも悪くないのに、脳天気なその顔を見たら八つ当たりしてしまいそうで。逃げるように寝室に入りコートを脱ぐ。先にお風呂入っちゃうー?暢気な声が部屋の向こうから飛んできた。それだけでイライラしてしまう。そんなふうに思っちゃいけないのに。
切り替えなきゃ。シャワーを浴びたら少しは心が落ち着けるだろう。浴室で服を脱ぎ、お風呂の蓋をとる。すると目に飛び込んできた黄色いものたち。
「なにこれ」
柚子が湯船にぷかぷか浮いている。ほのかに青臭さがどこか残る薫りが、浴室の中に漂っている。そっと身体を沈めてみる。
「あー……落ち着く」
ちゃぷちゃぷ揺れる柚子たちがなんだか可愛くて思わず顔が緩む。こういうことしてくれるのがまた、嬉しくて。そう言えば、なんで私落ち込んでたんだっけ。忘れしまうくらい、柚子湯は私を癒やしてくれた。お風呂から出たら彼にありがとうを言おう。でも、20個は入れ過ぎじゃない?
#ゆずの香り
寒さがまし、キツく合わせるコート···
あまりの寒さにふっと入った喫茶店
店内の暖かさに、先に入っていた客が
思わず脱いだ。
その時、香ってきたのは
ゆずの香り
冬至のゆず風呂は冬のお楽しみの一つ。
レモンほどの華やかさはなくても、もっと陰影があるゆずの香りは、日本の香りという感じがする。
かぼちゃは食べなくても、このくらいは季節を楽しむ余裕を持っていたい。
テレビを見るとカピバラが気持ちよさそうに温泉に浸かっている。
昔テレビのゆず風呂のニュースには、ニホンザルの映像がよく使われていたけど、最近はすっかりカピバラにその座を奪われてしまったみたいだ。
これも時代だね。
#127
私は今、真冬のバスに乗っている。
満員で、席に座れて私はラッキーだと思う。
バスの運転手が「前に詰めて下さい」と言っている。
すると、同じ年ぐらいの制服を着た女の子が
こっちにきた。
その子が手袋を外すと、何かの香りがした。
きっとハンドクリームの匂いなのだろう。
酸っぱいようなちょっと違うような、
きっとこれはゆずの香りだろうか。
バスを降りるまで私は、
そのことばっかり考えてしまった。
ゆず香る お部屋にうっとり できません
ホテル清掃 ニオイは許さぬ
ニオイの処理はほんと面倒なので
泊まるときはできれば控えてもらいたい
【ゆずの香り】
控えめな淡い甘さが鼻を擽る。
目を閉じて息を大きく吸い込むと、淡い甘さと自然特有の青々とした匂いが体に満ちていく。
「っさて、」
――本当にここはどこなんだ??
いい匂いを嗅いで少し落ち着いた頭で、放ったらかしにしていた問題を再び考え始めた。
周りを見渡すと、白い可憐な花を付けた木が沢山生えている。
人通りが多い東京のアスファルトの道に立っていた筈だが、いつの間にかこの自然の世界に放り込まれていた。
帰りたいが、ぱちっと瞬きをしたらいつの間にかこんな鬱蒼とした木に囲まれていたのだから、どうもこうもしようが無い。
東京では中々嗅がないような常に鼻を刺激する淡い甘さに、酒でもないのに酔いそうになってしまう。
多分この甘さの発生源は、木に飾りのように付いている白の花だろう。
確認をするために花に顔を近付けて匂いを嗅ぐと、予想は合っていたようで濃くなった甘さが鼻腔を揺らした。
「にしても、どうするか…」
花から顔を離して再び考える。
本来ならこんな場所に来てしまったことにもっと焦るべきなのだろうが、小さい頃からこういった減少に度々巻き込まれていたので慣れてしまった。
なんなら変なバケモノも居ないし良心的な空間だろう。
ずっと立って考えているのも疲れてきたので、草に覆われている地面に腰を下ろした。
うーん、と腕を組んで頭を悩ませている時だった。
どこからともなく、柑橘類の匂いが漂ってきた。
「…ゆず?」
心当たりのある匂いに頭を傾げていると、いきなりぐにゃっと眼の前の空間が歪んだ。
地震だとか、何か出てくるかとか、幽霊とかそういう系かとか…色々一瞬で考えたが、多分全部違う。
これ、私の目がおかしくなってる。
咄嗟に地面に置いた手は通常通りの感触を脳に伝えてくるし、歪んだ空間に腕を出すと腕まで歪む。
だとしたら、おかしくなってるのは私で。
治らない視界の歪みに焦っていると、鍋で煮詰めてどろどろになったような柚子の香りが鼻を刺した。
ぐにゃり、と歪みが酷くなって、頭が痛みだす。
匂いを嗅いだらヤバい、と鼻を腕で塞いだ時には、私の意識は大分朦朧としていた。
「や…ば、」
腕の隙間から、もはや痛いほどの柚子の匂いがする。
朦朧とした頭には、もう黒の暗幕が落ちかかっていて。
ふっと、私は呆気なく意識を飛ばした。
ー
「ん゙…あたまいた…」
痛む頭に閉じていた目を開けると、私は自室のベッドで横になっていた。
まだ鼻の奥で香ってくる柚子に顔を顰めて、横を向く。
時計を求めていた目は、それとは違うものを視界に入れた。
ひとつの立派なゆずと、白い可憐な花。
…収まった頭痛が、また再び主張を始めた。