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 幼い君と手を繋いで歩いた道。
 ランドセルを背負った君と参観日の帰りに一緒に歩いた道。
 大学進学が決まって家を出ることになった君を駅まで送った道。
 成人式に振り袖姿で歩きにくそうにしている君を支えながら歩いた道。
 この道にはいろんな思い出が詰まっている。
 でも、この道を君と歩くのは、今日で最後かもしれない。

「お父さん、男手ひとつで私をここまで育ててくれて、ありがとうございました」
 純白のドレスを着た君が涙ながらに言う。
 私も泣くまいと思っていたのに、年甲斐もなく号泣してしまった。

 これまで君と歩いた道は、そりゃあ平坦じゃなかったけど、私にとっては、かけがえのない宝物だ。天国にいる君のお母さんも一緒に歩きたかっただろうけれど。
 でもきっと、お母さんも君のことを空から見守ってくれているはずだよ。

 君がこれから歩いていく道に、幸あらんことを。

6/8/2025, 11:37:40 PM