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こんにちは。
私はあなたの一番の理解者であり、あなたを陥れた人間です。

私は、たくさんの酷いことをしてしまいました。

あなたは踊ることが好きでしたね。
人前で緊張しすぎて、手足が震えたあの日。
頭が真っ白になって、練習では完璧だったダンスを見せることが出来なかったあの日。
あの失敗が起こったのは、私があなたに期待という名のプレッシャーを与えてしまったからでしょう。
あなたならできる、あなたならやり遂げられる。
そんな期待の押しつけをしてしまいました。

あの日から、あなたは踊ることをしなくなってしまいました。
小学生の頃に一度は家庭の事情で諦めて。
それでもあなたは踊ることが好きだったから。
人付き合いが苦手なのにも関わらず、ダンスサークルに入ったのに。
私のせいで、あなたはまた諦めることを選んでしまった。
私のせいで、諦めざるを得なかった。

私のせいであることは分かっています。
だから、これから言うことはとても傲慢で、我儘で、腹の立つ言葉だと言うことも分かっています。
それでも、他の誰でもなく、あなたに聞いて欲しい。

私は今、踊ることに、もう一度挑戦してみたいと思っています。
明日から、ダンススタジオの体験に行くことにしました。
まだ、人前で踊ろうという気にはなりません。

それでも、何度諦めても、結局、私は踊ることを選んでしまっている。
なんて、粘り強い、しつこすぎて離れてくれない"好き"なのでしょう。
あなたもそう思いませんか。

ここまで来たら、私が諦めてあげようと思いました。
認めてあげようと思いました。
私は踊ることが好きなのだと。

何度も諦めて、何度も遠ざけようとした。
あなたはそれが出来てしまったから、本当は踊ることが好きじゃないのかも、と考えているでしょう。

でも、安心してください。
私は、今でも踊ることが好きです。
人前で踊りたいとは思えないけれど、ただ音楽に身を任せて踊ることが好きです。
だから、あなたも踊ることが好きです。

なぜ断言できるのか。

それは、私はあなたの一番の理解者であり、あなたを陥れた人間であり、あなた自身だからです。


そろそろ、不安はなくなりましたか?
すぐには無理かと思います。
なので、いつかダンスにあなたが向き合えるようになったら、過去のあなたを励ましてあげてください。



今の私のように。





拝啓、あの頃の不安だった私へ

5/24/2023, 1:14:50 PM