"高く高く"
人が途切れて、ちょっと外の空気を吸いに外に出る。扉を開けて外に出た瞬間、突風が吹いてきた。急に吹き込んできた風の冷たさに、ぶるりと肩を震わせ自分の肩を抱いて身を縮こませる。
「寒…っ」
ふぅ…、と息を吹きながら空を見上げる。透き通るような青と鱗雲が広がって、高さも数日前に見た時よりも高くなっている。
空に向かって手を伸ばし、陽の光にかざしてみると、また風が吹いてきた。今度はただ冷たいだけじゃない、優しい風だった。
──なんだか、どこまでも高く翔べそう。
風が頬を撫で、髪をさらさらとなびかせる。自然と口角が少し上がった気がした。
伸ばしていた腕を下ろし、身を翻して中に戻った。
10/14/2023, 12:12:16 PM