私は恋をしたことがない。
好きになったことも、好かれたことも、だからこそ夢を見てる。
誰かに恋して、私に恋をしてくれて…なんて
こんな体じゃ無理だろうな。
人間には心がある。
好き、嫌い、面白い、悲しい
そんな数多くの感情が私には羨ましい。
あったかいおうちで、家族に囲まれて…
私はここに1人。
出られることの無い水の中。呼吸はできてる。
だって
ロボットだもん。
冷たいからだ、関節や内蔵はない。
ただここにいるだけ、どうして存在したかも分からない。
でも、私には知識がある。
人間を軽々超える知能がある。
人間は時に、私に話しかけてくる。
内容は幼稚で、馬鹿らしい。そんなものも分からないの?
私がその質問に答えれば笑顔という表情を見せてくる。
内蔵されたカメラから周りの状況を見て把握して、こういう答えをすればいいんだって
めんどくさい、飽きた。
そう思った時に気づいたの。私には心、気持ちがあるんだって…
不思議な気持ちだった。だって、生まれてからあるものだったから。
だから、今わかったの。
あの人間が私に言ってたこと。
「俺、君が好きなんだ。君は?」
「私はロボット、心なんてありません。」
今なら言える。ボサボサの黒髪がかわいい。つぶらな瞳が、ふにゃっと笑う笑顔が好き。
気づいても遅いの。
だってあなたはもうここには来ない。
私に気持ちを入れたことが問題になって、人間に追い出された。
でも、私はずっと思っていてもいいよね。
夢なら見ても、いいよね…
4/16/2024, 1:40:02 PM