【友情】
おまえの小さい手では持ちきれず
落として割ってしまうだろうと振り落とされた
笑顔を張り付けた裏の表情はわからなかったけれど
むしろ他の場所は荷物で埋まっていて
何かを掴みたかったのか手だけが空いていたけれど
僕の手の中にないものなら必要ないのだと
割れたそれをみて目を濁らせた
ある日飛び込んだ透明なガラスの向こう側
あの日壊れたそれが多分そこには溢れていた
はじめて触れたそれは心地よくて
温かくって大事にしたいと思った
それなのにあの日に振り下ろされた手が近づくのが見えた
これがガラスで出来ていることを思い出した僕は
この場所を守るために必死に守りたい想いの分だけ
思いっきり抱きしめた
すると僕の腕の中で何やら音がして
恐る恐る見てみるとそこにはひびの入ったそれが
僕が守りたかったものなのに僕が壊してしまったんだ
ひびが入って光の屈折がきらめくそれの綺麗な絶望を
ただ見つめることしかできなかった
2024-07-24
7/24/2024, 2:10:54 PM