伸びた餅のちぎれた部分

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 事あるごとに泣いていたあの子。
ちょっと不器用だったから、こけたり、つまづいたりがいつまあった。
彼女が泣くたびに私は慰めていた。
「大丈夫、大丈夫、泣かないで」と。
理由を聞いて、行動をほめて、改善案を示して……。
私だけが彼女を慰められた。
彼女を泣き止ませられるのは私だけだったから。
私だけが、彼女をわかってあげられるのだ。

 そんなある日のこと、彼女がまじめな顔で言ってきた。
「もう、泣かないよ。」
もう、泣かない。
その言葉を頭の中で何度も反芻する。
今、彼女はもう泣かないと言ったのか?
その言葉を聞いて最初に出てきたのが寂しさだった。
そんな自分に怒りを覚えた。

3/17/2023, 11:52:25 PM