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ブランコ


杏色の空の下、アスファルトを革靴で鳴らしながら歩く。それに合わせて引き出物の袋がゆらゆら揺れる。

地元の道、小さな公園。そこは少年時代の思い出が詰まった場所。君との思い出が濃すぎる場所。
誘われるようにふらりと入り、ブランコに腰かけた。あの頃とは違う色、違う目線。変わらないのは隣に座っている君。

喪服のネクタイを乱暴に緩める。古いブランコはキィと泣く。
『なあ、もう辞めてくれないか。お前はただの都合のいい亡霊だ。』
君はあの時の笑顔、あの時の澄んだ青いワンピース。何も言わなかった。
少年時代の甘酸っぱい記憶が走る。そして血の匂いのする記憶も。
『もう、辞めてくれ。』

黒のパンツにひとつ、ふたつと染みが出来ていくのを彼女はただ眺めるだけだった。

2/1/2024, 11:17:41 AM