【泡になりたい】
「これを3錠飲んだら本当になりたい物になれるの?」トロンとした目でヒサシの肩に顎を乗せて泥酔した私はその錠剤を見ていた
もうこの酔のまま覚めたくなかった
「人魚姫になれますように」
私はその錠剤を気持ち良くシャンパンと一緒に飲み干した
グラングランしてきて訳の分からない叫声をあげた、既に私ではない
意識はない
私は泡を吹いて床に仰向けになっていた
「もう少しで人魚姫にしてやるからな」とヒサシは言った
私はヒサシを愛してる、全ての望みを叶えてあげたい、なのに……ヒサシには彼女が居たなんて…だけどヒサシの願いを聞いたら私を1番に愛してくれるって言った
「愛してるよ、だから俺を助けて!
マリしか居ないんだよ」って言うから
差し出された紙に名前とヒサシが用意した印鑑で判を押した
それから一緒にお酒をいっぱい飲んで楽しかった、それなのにヒサシは彼女と結婚すると言った、「酷い!嫌だ!そんなの」と私が泣くと
「愛してるのはマリだよ」とまたお酒を私に注いだ、ヒサシの囁きは甘かった
「おっ!来た来た、遅いよ〰️
近くにいろって言っただろ
車に乗せるから手伝えよ」
そう言ってヒサシは弟分に金を渡した
「今、人魚姫にしてやるからな
泡になりたいんだろ」
その声を聞きながら私は海へ沈んで行った
足首に重りを付けられて……
重りの付いた人魚姫なんて居ないよヒサシ………
ヒサシ1つだけプレゼントを残してきたよ
ホテルの引き出しに
「私はヒサシに殺されます
いえ、殺されました」ってメモに書いてきたの
サヨナラ、ヒサシ
私、満足よヒサシに殺されて
だって死にたかったの
私が彼女だと思ってたのに利用しただけなんて、
だけどヒサシ、幸せになってね
ヒサシを本当に愛してたら彼女は許してくれるはずよ、殺人犯のアナタを…
8/6/2025, 6:14:01 AM