つつも

Open App

【伝えたい】

今日は娘が行事の振り返りということで学校が休みだった。簡単に家事を済ませた私は、もうすぐ来る娘の誕生日に備えてプレゼントを選びに2人で買い物に出かけた。

ある程度の下見を済ませたあと、夫と相談するためにいくつかの品物をピックアップする。
「ママ、お腹空いた」
娘は私の服を引っ張りそう伝える。時計を見るといつの間にか、時刻は昼を過ぎていた。
「ごめん、ごめん。お昼食べようか」
そう言って私たちは近くの飲食店に入った。

ご飯を食べたあと、普段は頼まないデザートを娘と選ぶ。平日に娘と買い物という、普段と違った日常に特別感を覚えたのかもしれない。
娘も、滅多にない注文に目を輝かせていた。
「パパには内緒だよ。羨ましがっちゃうから」
と言い、口元に指を立てると、娘も同じように口元に指を当て頷く。

その夜、夫が仕事から帰ってくる。娘は駆け出して夫にしがみついた。
「パパ、パパ。あのね、ママと買い物行ったんだよ」
嬉しそうに報告する娘に、夫はそうか、そうかと相槌を打つ。すると、今度は小声で、
「あとこれ内緒なんだけどね、甘くて美味しいの食べたんだよ」
と口に手を当てて笑う。
私はその隠しきれてない言葉選びを見て思わず笑ってしまい、夫は、美味しいもの?いいなぁ。と声を出す。

内緒、と言いつつもこの喜びを共有したいくらい伝えたかったのだろう。そんな娘を見て私もなんだか嬉しくなった。

2/12/2024, 2:09:32 PM