桜の花弁が一枚、ひらりと舞った。
風に乗って地面へ向かって降りて行く様を見て、地面に絨毯のように広がった桃色に気付く。
ふと顔を上げると満開の桜が視界に広がった。
下ばかりを見ていたから気付かなかった。
こんなにも鮮やかで美しいものがすぐ傍にあったのに。
ああ、綺麗だ。
心が洗われるような光景を前にして、胸の内に溜め込んだ重苦しい空気が抜けて行く。
毎年、満開の桜を見る度に感じる。
あの素晴らしい景色をあと何度見ることができるのだろうかと。
この国に産まれた幸せを噛み締めながら、今年も来年も美しい桜を見ることが叶うと信じて。
2025/3/4 『ひらり』
3/3/2025, 12:06:09 PM