わたしは夜が好きだ。
それは、闇がわたしを包んで隠してくれるから。
夜明けは新しい一日にバトンを渡す。
子どもの頃は、夜寝るのが惜しかった。そろそろ寝ないとね。お母さんに言われる度に、まだ遊びたいと駄々をこねていた。
早く目が覚まして、早く遊びたいと思いながら眠りについた。
しかし、今はすっかり変わった。朝起きたときに、カーテンから明るい光が差しているのをみると、朝が来たことを知る。
そして、今の自分の状況を思い出して、また今日が始まることに対する絶望感を感じてしまうときさえある。なにかしらのストレスを抱えたまま処理しきれないときは特にそうだ。
目の前の景色、特に自然は、同じ瞬間はない。自然は常に変わり続けている。
そして、観測者が目の前の景色をどう捉えるかは観測者によって異なるため観測者によってその“見え方”も変わる。
どんなに美しい景色でも、観測者の気持ちが沈んである場合、その景色は綺麗だと理性では理解しているが、心から綺麗だと思えないことが起きる。視界に入るのも嫌になってしまう景色になるかもしれない。
わたしは、夜が好きなので、夜明けはすきではない。
東の空から顔を出す太陽は、わたしにとっては眩しすぎる。
しかし、最近夜明けのころに空をみていると、水色の空にかかっている雲のなかに、ピンクに染まっているものを見つけた。
このピンクは、まだ顔を出していない朝日の光を雲が浴びて、染まったからできたんだろうと思った。
水色の空にピンクの雲がかかって、お互いが素敵な色を引き立てている。
夜明けはあんまり好きになれない。けれど、この水色とピンクが同じ空に浮かんでいるのをみるとき、なぜかわからないが、心が凪のように静かで、ほっこりとした気持ちになる。
どうやらわたしという観測者は、この景色がすきらしい。
わたしにとってこの景色は、夜明けが少し楽しみになる景色だ。
_________静かな夜明け__________________________。
2/6/2025, 2:31:42 PM