起きてるかなぁ、寝てて欲しいんだけど。
しっかりと長引いた残業が終わり自宅に帰る。
音を出さないように、そろりそろりと家の中に入った。
静まり返った部屋。
人の気配はするけれど音がないから……眠っているのかな。
俺は音を出さないように気をつけながら、寝室を通り越して居間に荷物を下ろし、上着をフックにかけた。
さっき通り過ぎた寝室には恋人が先に眠っている。
明日は早めに出社すると聞いていたから、さすがね先に眠ってくれていて安心した。
割と無理してでも起きて待っててくれること多いから、『先に寝ててね』と伝えたんだ。
ちゃんと寝ててくれているよね。
俺はさっさと支度して寝室に向かうと、案の定ベッドには彼女が俺の枕を抱きしめながら眠っていた。
ここでも音を立てないように部屋着に着替えて彼女の横に潜り込む。
うーん、俺の枕は返してもらえなさそうだな。
それは彼女の寂しいという気持ちの表れ。
寂しい思いをさせたのは申し訳ないと思いつつ、自分がいないことでぷくぷくする彼女も可愛いと思ってしまうから救いようがない。
枕がないのは辛いけれど、遅くなったのは仕事だからね。
今度時間を作って埋め合わせしよう。
そう思いながら彼女の頬に唇を落として眠りについた。
おわり
六二九、Kiss
2/4/2026, 1:13:18 PM