月影

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記憶の中はいつも海だ。果てしなく続き終わりがない。聞こえてくるさざ波は貴方の泣き声のよう。

明くる日も忘れられない、貴方と見た海を。季節は私を置き去りにし、時間は私を通り過ぎ、風でさえ私に触れない。触れてくれるのは貴方と海だけ…。
 
隣りに居た貴方の影が、私の影と重なり、臨む先の海は悲しげに映る。それでも、私はその海を美しいと思う。貴方がいた過去(海)がとても美しい。私はそっと手を伸ばした。微かに滲んで見える貴方の影に手を…。

5/13/2025, 10:38:25 AM