阿ヶ野川ゆうすけ

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「オリオンは本当に夜空が好きだね」

城の小窓から眺める夜空はどこか特別な感じがしていた。
涼しい夜風が頬を撫でて、眩く煌めいた星たちはまるで宝石のようだ。

「ベテルギウス、久しぶりだね」

視線の先にいたのは大きい木の枝に座る真っ白な人物だ。
小窓を開けるたびに遭遇し、最早当たり前かのようにそこにいた。
しかし、元々病弱なオリオンは体調が良くない日々が続き、生活のほとんどがベッドの上だった。
窓を開けて大好きな夜空を楽しむこともできず、ベテルギウスに会うのも久しぶりなのである。

「会えてよかったよ、顔色がいいみたいだ」

「僕も会いたかったよ」

静かに夜空を眺める。
この時間が何よりの幸せで、癒しとなっていた。
暗闇の中にいるというのに、どこかほのかに光って見えるベテルギウスは、いつからか僕にしか見えない存在なのではないかと思うようになった。
幻覚でも、たとえ幽霊でもそれでもいい。
それと、確信はないけれど最近感じるものがある

「ねぇベテルギウス」

「ん?」

「僕、もうすぐ星になれるかも」

ベテルギウスはそれが何かをすでに感じ取っていた。
大きい反応を見せるでもなく、ただオリオンに微笑みを見せた。
それは彼にとって、大丈夫と安心を与えるようなそんな暖かさだった。

「でもね、本当はやりたいことたくさんある」

「…もし、君の危機が近付くなら僕が力になってあげる
そのために、僕は君のそばにいるんだ」



この先も共に見よう。この満天の星たちを。



10/6/2024, 12:56:34 PM