黒猫

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君に出会って恋を知った。
自分には縁遠いものだと切り捨ててきた。

君に出会う前、別の異性に想いを告げられた。
その想いは恋ではなく支配。
彼女が俺を所有物として支配したいだけの
おぞましい動機と欲望。
俺を物として見る瞳は狂気を孕んでいた。

そのような体験が異性をより遠ざけた。
戦場で命を散らす。
それを望みに剣を振るい続けた。

しかしどうだろう。
君に出会って恋をして「生きたい」と思ってしまった。
命を手放したくなくなった。
一分一秒、君とともにいたい。
共に生きたい。


「恋人を放置するとはどういうおつもりですか?」

にっこりと微笑み眼下の彼を見下ろす。

目の下に濃い隈をこさえ縮こまる彼は完徹3日目。
仕事中毒で周りがどれだけ心配しても
行動を改善しない。
その上、最近は放置され気味で堪忍袋の尾が切れた。

「実家に帰らせていただきます。」

「いや…!それは待ってくれ!」

情けない顔をし縋ってくる婚約者を冷笑する。
何もしないで相手の気持ちが変わらないなんて思っているのなら傲慢以外のなにものでもありませんわ。

仕事ばかりで会いに来てくれさえしない
婚約者なんて捨ててしまいましょうか。

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4/25/2025, 12:15:50 PM