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「危ないッ」

ドンッ

横から手が伸びてきて私を押した。

「痛ッ」

私は押された方を見た。

横には倒れている赤く染っていく男性と逃げる車

映画やドラマを見ている気分だった。

「だ、大丈夫ですか!」

嘘みたい。

彼はあまりにも美しく笑顔で

私を見つめているように見えた。

「なんで、なんで笑顔なんですか?」

「なんででしょう?私にも分からないです。」

そう言って彼は目を閉じた。

「うそ、嘘ですよね。起きてください!」

全く面識のない彼が

私を庇う必要はなかったはずなのに

悲しくなった。

彼の人生がここで終わってしまうことに

でも私には見えた。

空から人が降りてきたのが

その人は神様と名乗った。

神様が舞い降りてきて、こう言った。

「貴女が彼を助けたいと思うなら念じてみればいい」

私はきっと神様のこの言葉を聞いた時

何言ってんのコイツみたいな顔で

神様を見ていたと思う。

私にはよくわかんなかった。

生まれてから1度も

そんな人を助けるような力を

持っているわけじゃなかったから。

念じる

はぁ?

そんな馬鹿みたいに簡単な事で

彼が助かるなんて有り得ない

そう思いつつ私は念じた。

〝面識のない私を助けてくれた彼を助けて。
死なせないで。
まだお礼も言えてないし名前も知らない。〟

少し経ってから彼は目を開けた。

すぐ周りを見渡したが神様は姿を消していた。





─────『神様が舞い降りてきて、こう言った。』

7/27/2023, 11:37:13 PM