きゅ、と地図にバツ印をつける。だいぶバツの範囲が増えてきた。行った街、過ごした場所をバツをつけ始めてどれほどの時間が経っただろう。
「遠くに来たなあ」
故郷から現在地までバツ印が足跡のように記されている。チリも積もれば山となるように、バツも埋め尽くせば真っ黒になる日が来るのだろう。
「さて、次はどこに行こうかな」
前回は棒が倒れた方角へ。前々回は目に入った鳥が羽ばたいた方向へ。今回は葉っぱを落として吹かれていった方へ向かおう。
「次はどんな街かなー」
よいしょと荷物を担いで、足元にあった葉っぱに手を伸ばした。
【旅は続く】
10/1/2025, 9:43:53 AM