すまなかった。
別れ際に、私は言った。
バカなことを。謝ったところで、幸せになる女など、居はしないのに。
すまなかった。申し訳なかった。
心のなかでもう一度言った。楽しかった日々が、もう二度と戻らないと悟ると、自然と涙が流れてきた。本当は、謝りたい訳などではない。
ごめん。でも、ありがとう。
なるべくきれいな言葉で終わろうと、必死に言葉をつくろった。きっと誰かがあなたと結ばれる。それが私ではなかっただけだ。
ただ本当に伝えたいことは、喉から出かかっていた。謝りたいわけではなかった。感謝をしたいわけでもなかった。この言葉以外に、必要な言葉なと、男女の間には存在しない。しかし人は、その言葉をいつも、必要な時に言えないものである。
愛していた。
結局言えなかった。
「今一番欲しいもの」
7/21/2024, 11:56:01 AM