あご下

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「無限の愛と、永遠の愛、どっちがいいと思う?」
スマホを眺めていた幼なじみが不意に零した。
彼氏と別れたからさよならパーティをしたいと呼び出されてから半日、持参したケーキやスナック菓子、思いっ切り食べようとデリバリーで頼んだピザを食べ散らかし、ほとんど文句ばかりだった思い出話を聞き終えて、彼女は二人で撮った写真を整理しはじめたところだった。僕は思い出のグッズ処理班を任され、もったいないなあ、と思いながらも夢の国のカチューシャをゴミ袋に入れていた。
「それ、どう違うの?」
どっちも終わりがないという点では同じだと思う。
「わかんない?」
「わからんよ」
「無限の愛は、いくつでもでてくるラムネって感じでえ、永遠の愛はながーいポッキーみたいな感じ」
「……で?どこがどう、選ぶポイントなん?」
「フィーリング」
幼なじみの目尻に、涙が浮かんだ。重力に従って、ぽたりと落ちると胸に抱えていた黄色いクマのクッションに小さく染みができる。昔僕がプレゼントしたもので、すこし色褪せてきている。
「彼氏は……、元彼は、もっと、アソートチョコみたいなのが良かったんだなって」
「ますますよくわからん」
でも、なんとなくわかった。一種類の決まった味だけじゃなくて、他の色んな味を感じながら、ひと袋分、いつか終わるまでを楽しみたいタイプということだろう。
それじゃあ僕は長い長い、チョコ部分すら終わらないポッキーを選ぶと思う。
君が齧りにくるのを、ずっと待っている。

11/1/2023, 1:34:05 PM