叶湊

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お題:目が覚めると

「絶対に幸せにするので僕と結婚してくれませんか!」

6年前から結婚を前提に付き合っている彼氏にやっとプロポーズされた。私も彼のことが大好きでもちろん承諾した。

時の流れは一瞬で、気づけば結婚式を挙げて、子宝にも恵まれ、毎日幸せだった。育児は本当に大変で、格闘する日々だった。産まなければよかったと思ったこともあったけれど、子供と夫の笑顔を見てるとそんな想いは全て吹っ飛んでしまっていた。

そしていつの間にか子供も大人になり、結婚をして素敵なお嫁さんをもらうことができた。
私と夫はその頃には70代で、孫と遊ぶために生きていた。
しかし、病気というものは防ぎようがなく、私は胃がんのステージ4と宣告され、延命治療のみを行い、71歳で人生の幕を下ろした。


そこで違和感に気づいてしまった。

「あれ?彼と子供は3年前交通事故で…」

ハッと目が覚めるとそこは自分の部屋で毎日、地獄が始まる場所でもあった。

「夢か… 一生目覚めなければよかったのに。私よりはやく死なないでよ。はやくそっちに行かせて…」

そう3年前のあの日からずっと願い続けている。

7/10/2024, 2:24:37 PM