気まぐれ Noname

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《宝石屋》

カランカラン

「いらっしゃいませ〜」

私はマリティア。下町では有名な宝石屋の娘よ。

今日はどんな方がいらしたのかしら?

貴族の方かしら?それとも知り合い?
もしかしたら王族の方が…いやいや、ない。
王族だけは絶対ない。

ん?今日のお客様は、どうやら貴族の方みたい。
それにしてもイケメンだわ〜♡

「何か贈り物を探しているんですが、何か良いものはありませんか?」
「どなたに贈られるものですか?」
「婚約者なんですけど…なかなか振り向いてくれなくて…」

あらあら。どんな方なのかしら?これほどのイケメンを拒絶するなんて。

そうねぇ。"婚約者"に対して贈るもの…やっぱり身につけられるものがいいわよねぇ。

「それでしたら、こちらのネックレスや、指輪、イヤリングなどがございます」
「なるほど…ではネックレスにしようかな」
「かしこまりました。何かつけたい宝石など、ございますか?婚約者様と、お客様の瞳の色の宝石などはいかがでしょう?」
「そうだな、そうしよう」

あらぁ〜、それじゃ、このかたの瞳の色は緑のアメジストがピッタリね!うふふ…すごい儲かるわ…ふふっうっふふっ…

「お客様の瞳の色と同じ宝石は…こちらですね」

さりげな〜くこの高級品をおすすめする。
この、さりげな〜くが大切。商売の基本よ。

「緑のアメジストか…青色の宝石はありますか?」
「婚約者様の瞳の色は青色なのですか?」
「ええ。透き通ったような綺麗な青です」

透き通った…青…ねぇ。うーん、難しいなぁ。

「青でしたら、アクアマリン、サファイア、インディコライト、パライバトルマリンがございます」
「では…アクアマリンで」
「承知いたしました」

それにしても、婚約者様は綺麗な瞳の色をしてらっしゃるのね。いいなぁ、私、茶色だから…憧れちゃう。

「では、緑色のアメジストとアクアマリンでネックレスをお作りしますね」
「もう一つ、何かこの二つの宝石を引き立てる宝石とか、ありませんか?」

緑と青を引き立てる…王道で白…とか?白なら真珠ね。あっ、そう言えば…

「そうですね…真珠などはどうでしょう?ちょうど、昨日に届いた珍しい形の真珠がありまして…少々お待ちくださいませ」



「お待たせいたしました」
「ああ、ありがとう」
「こちらです」

そう言って私がお見せした真珠は、天使の羽のような形をしていて、二つでセットの、恋人にピッタリなものだ。

「こちらに金の金具をつけ、緑のアメジストとアクアマリンを組み合わせればよろしいのではないでしょうか?」
「そうだな。そうしよう」

ふふふっ…こんだけ手の込んだもの渡されたら困るわね…振り向かざるおえないもの。

完成が楽しみだわ〜!


しかも、


"世界でたったひとつだけ"


ですものね。

私だったら惚れ直しちゃう!



お題 世界にひとつだけ

9/9/2024, 1:45:51 PM