名無しさん

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お題 『消えない焔』

「お誕生日おめでとう!!!」
寝起きの私には大きすぎる声量で、
誕生日を祝われたはずの私は顔を顰めた
「……うるさい、いま何時だとおもってるの」
寝ぼけ眼を擦りつつそういう私に悪びれもなく
「午前0時ぴったり!」
と、ドヤ顔でピースサインをするので、怒りを通り越して呆れてしまった
こんなやり取りも、今日で数年目
騒がしい声で渡されたのは、シンプルなキャンドル
前に私が欲しいと言っていた、スノードームみたいで可愛らしいもの
数年経っても私の趣味を無視したプレゼントを送ってきてたのに、今年はまともすぎて
流石になにかあるのではと勘ぐってしまった
「今回はまともみたいだけど、どうしたの」
「えー?いっつもまともでしょ?」
無自覚だったのか、と呆れが来るが、そうではない
そもそも、去年は私の食べれない激辛スナック菓子、その前の年はポテチの柄がプリントされた靴下など……
可愛いもの好きな私にはあまり好みでは無い、絶対に自分の好みで選んだな、というラインナップだったのだ
自分でもしょうがないとは思っているが、流石に言いすぎたかもしれない
素直に謝って、嬉しいと感謝を告げると
そっちこそ素直すぎて怖いと言われたが
いや、そっちの方が酷いだろと思った

そんな相手も、もう居ない
1人になった部屋で、お誕生日おめでとうと自分に言う
なんだか広々とした部屋で、去年とは違う誕生日を迎えた

あの時貰ったキャンドルは、まだ使えていない





「おじゃましまーっす!」
「うるさい、いま何時だとおもってるの」
「ケーキ買ってたら遅れちゃったー!」
一人で迎えた誕生日の静けさは、次の日にことごとく打ち砕かれた
一人暮らしをしたからと、あまり出入りしなくなったから
誕生日に来てくれるのが嬉しいだなんて、一生言ってやるものか

少しだけ、ほんの少しだけ
あの時みたいに心が暖かくなった気がした
表現が違うかもだけど
これが心の焔、というものなのかもしれない

10/28/2025, 7:32:32 AM