小音葉

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それはまるで瞳を奪う無形の糸
凪の日の鏡面、あるいは鉄の樹海の窓辺から
誰でもないあなたを見つけた
両手に収まる無限の宙
時も空間も越えてどこまでも私を運ぶ方舟
どうにか生まれて息をして
あなたとの出会いを待ち侘びていた
運命と呼ぶ他ないでしょう

初めて空を飛んだ感涙も
地面に叩き付けた憤慨も
泡沫と翳る郷愁も
いつか圧殺した夢幻と狂想さえも
あなたはきっと与えてくれる
知らず私は溶け切って、泳いで渡る無人の庭
ただ一つの安寧、変え難い孤独
息吹く滸とイムソニア
今宵はどうか、手を繋いで
その真っ直ぐな背を撫でるまで離さないでいてね

新しい世界、あるいは失われた世界へ至る鍵
あなたのことを知りたくて
隅々まで繰り返し、摘んで返して降り積もる
雪のように、冷たく優しく包んでほしい
紙の塔に今日も恋する

(はじめまして)

4/1/2025, 10:36:08 AM