二日くらい前のこと
〝しぶんぎ座流星群〟が見頃なようなので、彼女を連れて二十三時を廻る少し前に家を出た。目的地に近づくにつれ街灯は少なくなり、いずれ無くなった。ハイビームにしなければ真っ暗で、暗闇とはこのことなのだと思った。
「ここなーんもないのに星は綺麗だよね」
「なーんもないからねぇ」
雲一つない星空だ。息を呑むほど美しい。
「あ、流れ星!」
何も知らない無邪気な声。でも今更「今日この時間は流星群のピークなんだ」なんて言えるわけがない。
最後に流星群を見たのは、八月のペルセウス座流星群だった。夏と比べるとやはり、冬は空気が澄んでいる、星が綺麗なんだなと身を持って体感できる。
冷えた空気を、肺いっぱいに。
身体の芯から凍てつきそうだ。
1/5/2025, 2:18:15 PM