思い出の青ジャージ

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「◯◯ちゃんってほんと花心ないよね。」

数少ない友達からこう言われたんだ。
花に興味がないのは本当だけど。
きっとあの子は自分の話に興味がないように
感じたんだと思う。
傷つきはしなかったけどいい気もしないな、こーゆーの。

「ねぇ、虹出てるよ!」
聞こえた瞬間手を引かれて声にならない声が溢れた。
え、誰、急になんで、虹?
頭の中はフル回転。息が切れて足を無理やり止める。
さっきまで雨が降っていたのに外は晴れてた。

「だ、誰?」
「君と同じクラスだよ」
「ごめん覚えてない」
「そっか。まあ、虹見ようよ!綺麗だよ」
確かに綺麗だった。
「なんか元気なさそうに見えたから。」
そう言って彼女は虹よりも綺麗な髪を靡かせた。

「知ってる?虹の端には幸せがあるんだって。」
「そっか。...走ってみる?」
「え、いっちゃう!?」
「やっぱもうギブ疲れた」
それからいっぱい笑った。
いつのまにか虹は消えてたけど
気づかないくらいたくさん笑った。

7/28/2025, 10:22:23 AM