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「神様は七日間で世界を作った。」
目の前に佇む友人が突然話し出した聖書の内容に、退屈すぎてあくびが出そうになった。今までの部活の愚痴はどこへ行ったのだろう。興味の惹かれない話題を僕が頷いたことによって進めようとする友人はどこか楽しそうだ。
「神様ってすげーよな。一週間で世界を作る程の圧倒的な力を持ってんだぜ。」
学校の帰り道、部活動での猛練習により使い果たされた体に鞭を打ちながら歩くのはかなり辛い。そんな状態で興味の無い話を聞けなんて無茶だ。僕はへー。と相槌を打ちながら歩くことに集中することにした。そうじゃなければ倒れてしまいそうだから。
「でもさ。七日間で世界を作るって、テラリウムみたいじゃね?」
唐突に後ろを振り向いた友人の鞄が少し後ろを歩いていた僕の顔面にダイレクトアタックをかます。「うっ!?」情けない声を出して少し後ろによろけた僕に、彼はごめん!と叫んだ。
「あぁ、大丈夫大丈夫。で、何?」
鼻血も出ていないし少し鈍痛がするだけ。それよりも早く帰りたかった僕は、いつも話が一段落着くまで拘束してくる友人の話を終わらそうと続きを促す。まだこちらを心配しながらも、友人は語った。
「もしも世界がテラリウムなら、俺らはいつか枯れるんだよな。だから、世界が終わる日は神様が俺らを見放した日ってことになるわけだ。」
馬鹿なことを言うなと思った。テラリウムって陸上の生物をガラス容器などで飼育や栽培をする園芸のようなもの。それで世界を例えるなんておかしいだろ。


そう、思っていたんだ。
砂漠化が進めば、地球に緑は無くなり、飲み水も消える。必然的に人々は減っていき、今では億を超えることなど無くなった。
友人は、先日息を引き取った。
空を見上げると、爛々と輝く太陽が僕を照らす。もがき続ける僕らを嘲笑うように燃える太陽を見ていると、神様に言いたくなるんだ。

「僕らを見てくれよ。」

4/14/2023, 4:18:47 PM