眠り子

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木枯らし

木枯らしの吹く夜、私は1人で街を彷徨っていた
どこにも居場所がなく苦しかった。
「誰も、私を辛さわかってはくれないんだ…」
気づいたら、見覚えのない屋敷の前にいた。
驚いていると、ちょうど誰かが屋敷の中から現れた。
黒いローブに、雪のように白い肌、真っ赤な瞳。
やばいと思った時にはもう遅かった。


気づいたら、私は今まであった辛い話を全て話していた。
「あのさ。そんなに辛いなら…もう人間なんか辞めちまおうよ」
「は…?」
人間を辞めたいとまでは考えてない。
「無理にとは言わないよ〜。でも、そんなに苦しく心が血を流しているなら、辛くて仕方ないならさ、輪廻の輪から外れて俺の仲間にならない?」
それに、俺手下を作らないとクビになっちゃうんだよねぇって冗談めかして言った。

彼の手を取ってからのことは、あまり覚えていない。
ただ、私の目の前は赤く染まったかつての同胞で溢れていた。
私は空腹が満たされた気持ちと同時に、もう二度元には戻れない一線を超えたことに気づいた。

苦しい時に差し伸べられる手は楽園か地獄か。
もし人間を辞めてしまおうと言われたらあなたは抗えますか?

1/17/2024, 1:21:19 PM