n.n.

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泣かないよ、もう。


あなたのいない世界じゃ生きられないなら、
あなたのいる場所に辿り着けるまで、
前を向いて歩いて行けば良いだけなんだから。


諦めなければ、必ずあなたにまた会えるはず。


だって、あなたは生きている。
死んでしまったわけではないのだから。


涙でぐしゃぐしゃの顔を拭い、
これから自分が歩むべき道の先を見据える。

今はまだ、その道の入り口さえも
見つかってはいないけれど。


…本当は薄々気付いていた。

こっちが現実で、あなたがいるあの幸せな世界の方が、夢なんだって。


どうせ夢の中だと思って。
もう会えないんだと諦めて。

夢の中だからと、勝手にいなくなってしまった
あなたを、少し困らせてしまいたかった気持ちと、
悲しさのままに甘えてしまいたかった気持ちが半々。


「大丈夫だよ。」「私はここにいる。」
「私は君を置いて何処にも行きはしない。」


“どの口がそれを言うんだ”と、あなた自身が思っていそうな弱々しい声音で伝えられる言葉。

何と声を掛けられても、
わたしは自分の気持ちそのままに、ただ泣き続けた。


…でも、あなたは言った。


「…夢の中では一緒に居られなくても、
 私はずっと君のそばに居るから。
 ずっと、君のことを見ているから。だから。」

「他の誰でもない、私の大切な君の毎日を。
 幸せに生きて欲しいんだ。
 私と、一緒に…。」



“私と、一緒に” と。



初めてわたしとの未来を望んでくれた、
あの日と同じ言葉を。



顔を上げた時には、もうあなたはいなかったけれど。


ただの夢なのかもしれない。それでも。


その言葉を胸に、わたしは泣くのをやめ、
現実を生きることにした。

あなたが何故いなくなってしまったのか、
理由はわからない。
でも絶対に何かがあったはずなんだ。



あなたが “一緒に” と言ってくれた。 だから。



必ずあなたを見つけ出して、
何があってもまた、あなたと一緒に。
幸せに生きる。



そう決めた。




だから、わたしはもう、泣かないよ。






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今回も朝から書き始めていたのに、
一日中ハンドメイドに明け暮れていて完成がすっかり遅くなりました\(^o^)/

前回から続いているこの話に出てくる人物はモデルとなる対象がいるのですが、元々考えていたストーリーとは一部内容を変えてその作品の話っぽくないようにして投稿しています( ˘ᵕ˘ )
(今回の視点の子はオリジナル主人公だけど)

3/18/2023, 5:39:48 PM