momomo

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今さらさらと名前を呼んでももう遅い。
彼女はいつまで立っても告白をしない僕にぷりぷりと怒りながら帰ってしまった。

さらさん!今度の夏祭りに大事な話があるんだ…!
と、小田井さらさんを夏祭りに誘うところまでは完璧だったが、いざ夏祭りに行くと緊張と、きっかけもなく夜店をだらだらと巡るだけになっている。

しまいには友達グループに見つかり、恥ずかしさから小田井さんとは偶然そこで会って…なんて言い訳してしまったのが決定打になってしまったのか、その後はいくら呼びかけても彼女はプイっと顔を背けてばかりだった。

このままでは埒が明かないと思い、いよいよ覚悟を決めて話そうとした時、ッドーーーンと言う大きな音と共に夜空に花火が咲いた。

僕はタイミングを逃したなぁと思いただだた花火を眺めていた。
ふと隣の彼女を見てみると何か憂鬱な顔をして花火を見上げている。
僕は気になり、何か悩みでもあるのかい?と彼女に尋ねると。
あなたの意気地の無さに呆れてるのよ。
昔から大事なことは黙って誤魔化したりする所、ほんと変わらないね、話がないなら帰るわ。
と言い残して、帰ってしまった。

僕は一瞬何が起こったのか分からずぼんやりとしてしまったが直ぐにハッとし、さらー!と呼びかけても花火の音にかき消されてしまう。人が大勢いる中で彼女の姿を完全に見失ってしまった。

結局その後は彼女とは卒業まで仲のいい友達という関係になってしまった。
遠い夏の思い出。

5/29/2025, 5:26:33 AM