しずく

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いつからだっただろう。
虚像の自分を必死に守って、
優越感に浸ることに疲れてきたのは。

ちがう。ちがう。
そうではない。
こころが満たされないと叫んでいる。
そんなものがほしいのではない。

…あれ、俺、なにがほしかったんだっけ。

なんのために無意味な呼吸を繰り返しているんだっけ。

死にたいわけでも、生きたいわけでもない。
ただ、すべてを投げて、投げつけて、
この満たされないこころを埋めたい。

生きるのに疲れてから、呼吸の感覚を忘れてから、
優越感に浸ること自体に意味を見いだせなくなっていった。
何も感じなくなり、むしろ、息苦しさだけが募っていった。

いつの間にこころが壊れたんだ。

うるさい。お前らは黙ってろ。
もともとあれは虚像だったんだよ。
それも、崩れないように必死につぎはぎで繕った虚像だ。
本物の俺はこれだ。こんな脆くて弱い普通の人間だ。

今だって優越感に浸っている人間はたくさんいるけれど、
所詮、つぎはぎだらけの着ぐるみを剥いだら普通の人間。
虚像を取り繕ったって結局は自分が疲れるだけ。
だったら、劣等生のほうがいい。

自分の本当の大きさは変わらないのだから。
無駄な背伸びはもうやめた。


…ああ、なんか。

劣等感に浸っていたほうが優越感。



─優越感 劣等感─ #1

7/13/2024, 12:31:40 PM