太田エイ

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「泣かないよ」、「泣かないよ」と言いつつ涙があふれるような泣き虫で、周りの大人がニコニコしながらからかってくる子供時代だった。そのせいか、泣くことをコントロールできる大人になりました。自然に泣くことは無いのに、「泣かないよ」と唱えるとすぐに泣けてくるのだ。

大人になると付き合いのない方の仏事に出ることも多い。
お通夜お葬式では、故人との関係に合わせて小さく「泣かないよ」から、大きめの「泣かないよ」と唱える。どうも声の大きさで涙の量をコントロールできるようなのだ。まあ、大の大人が大声で泣くのも変だから、小声がいちばん多い。
ところが、この能力を使っていると、この涙が本物か能力かわからなくなってくる。まあ、周りにはわからないので問題はないのだが。

祖母が死んだ。大好きだった。
「相当な高齢で大往生、むしろ祝ってもよいくらいだ」、「ちょっと前まで元気でいらしたのに」、「しばらく会ってなかったなあ」、「子どもの頃優しかったな」‥…。様々な想いが聞こえてくる。
この時ばかりは「泣かないよ」と言う前に涙が出た。でも念のため、小さく「泣かないよ」と言ってみた。
涙がとめどなく溢れてきた。

それ以来「泣かないよ」は効かなくなった。

3/17/2026, 2:58:25 PM