真っ暗な山並みの麓で、ぼんやりとした街灯りがまたたいている。私はぬるくなりかけたビールを飲みながら、今日起きた出来事を反芻してみる。
あの洞窟はいったいどこに続いているのか。遮光式土器に似たあの宇宙人は、どこから来たのか。UFOに拉致されたあの男性は、無事なのか。
自分はいま、こうして穏やかな時間を過ごしているが、彼にとっての今は、恐怖と苦痛に満ちた時間なのかもしれない。
かすかな罪悪感に胸が疼くが、今の自分の力ではどうにもできない。もやもやした気分で、缶の底に申し訳程度に残っていたビールを飲み干した。
何かヒントはないか…視線をさまよわせていると、目の端に振動するスマホが目に飛び込んできた。
電話の主は、友達のスミレだ。愚痴じゃなければいいな、と思いながら私は通話ボタンを押した。
「ねえ、聞いて!わたしUFOを見たよ!」
スミレはいきなり、驚くような事実を告げてきた。
【街灯り】
7/8/2023, 10:20:20 AM