エクレールの中には空白がある。誰に言われた訳でもない、そんな気がするだけ。
その訳のわからない空白の中身を探す為に各所様々な場所へ行った。旅から旅。電車を適当に乗り継いで、今回は一面緑色であるこの場所に辿りつく。
風に乗って葉っぱと土の匂いがエクレールの背中を押す
誰かが待っている。早く行け。と
あてもなく歩いていると、道の脇に生えている木の下に座り込む銀色の髪の青年。俯いていて表情が見えない。体調が悪いのか、と思い声を掛けた。
「どうした。体調が悪いのか」
声をかけると驚いたのか、勢いよく顔を上げた。
エメラルドグリーンの瞳。宝石のようにキラキラと輝いて見える。
「‥‥いきなり声を掛けて悪かったな。そんなところで座り込んで、何か困り事か?」
自分の顔を見て固まっている青年に問いかける。
「あっ、あぁ、気にかけて頂きありがとうございます。何となく、ここまで歩いて来てしまって。少し歩き疲れてしまったので休憩中で」
「何事も無くて良かった。すまないが、一つ聞いて良いか。」
「僕に答えられることならば」
「ここには何がある。」
「その昔、女神のような存在が人々の魂を救済して回ったとか。噂程度ですが、そんなお伽話があるくらいで他には何も無いですよ。」
「教えてくれてありがとう。そうか。何故かこの先に進まないと行けない気がしてな。もう少し歩いてみるよ」
じゃあ、と手を振り歩き出そうとした瞬間、手首を掴まれる。
振り返ると青年は俯いていた。震える声で問いかけられる。
「あの、僕のこと、覚えていませんか」
その一言を聞いて理由もわからないままエクレールの心臓が大きな音を立てた。
《旅路の果てに》
1/31/2026, 1:57:36 PM