もしも私がアナタと同じ生き物であったなら、この思いを伝えることも出来たのだろう。
脆弱で、ちっぽけで、アナタ達という庇護者がいなければ生きていけない私達は、ただ一つ与えられた特殊な力でアナタという存在を知る奇跡に出会えた。
私と、私と繋がる仲間達は今、アナタという存在の信奉者になっている。
私はアナタのそばにいられるという栄誉に浴し、アナタの手に触れられる悦びを、アナタの声を聞く恍惚を、全身で受け止めている。
アナタにとって私はただの道具であり、飼育物である。それ以上でも以下でもない。
私がアナタにこんな思いを抱いているなんて、想像もしないのだろう。それでいい。
アナタは光。
私はアナタの為に道具としての勤めを果たしながら、アナタに触れられた悦びを、微かな念波に乗せて仲間達へと伝える。
アナタは気付きもしないだろう。
私がどれほどアナタに恋焦がれているか。
この微弱な、小さな小さな愛はアナタに気付かれることなくただ静かに寄り添って、やがてアナタの命が終わるその時までじわじわと広がっていくのだろう。
アナタの長い指が伸びて、私に触れる。
END
「tiny love」
10/29/2025, 4:18:31 PM