俺は殺し屋。プロの、一流の殺し屋。
今回のターゲットは大富豪の孫だ。使用人に紛れて殺す機会を伺っていた。
中学生だという孫の相手は相当めんどうだった。大富豪故のしがらみのせいで捻くれて可愛げのない女で、口は達者だし、気分屋だし、懐にはいるまでに相当時間がかかった。
それも今日で最後だ。
アホなお前に教える勉強会も、迷い猫の飼い主探しも、はじめて友達を作る手助けをしたのも、なにもかも今となってはいい思い出だ。深夜のカップラーメンを教えたのは罪深かったかな。まあ、殺し屋なんだ、悪の道はお手の物ということで。
泣くなよ、ばかお嬢さま。
「なん、で……」
そんなの俺が聞きたい。
なかなか任務を達成しない俺に苛立った依頼人が、自分の手でこの女を殺しにきた。俺はプロだ。自分の仕事を横から攫われるのは許さない。
庇った結果、血塗れなのは俺の方だ。
絆されるなんてプロ失格。殺し屋家業は今日で最後にしよう。
お題:絆
3/7/2026, 6:47:48 AM