あなたとした約束は、随分と儚い物のようで。
しっかりと絡ませた小指の温もりは、影も形もなく消えてしまっていました。
いつものただいまの四文字も、今や、冷えた空っぽの部屋に虚しく響くだけなのです。
休日はいつだってあなたが起こしてくれた。
昼まで寝るなんてそんな堕落を許さないあなたは、眉間に皺を寄せて、しかしホッとする笑みを浮かべて、私の身体を揺すってくれました。
今は、私の睡眠を妨げる者は居ません。
あなたの名前が刻まれた石の塊は、残酷なほど冷たくて。
もう一度、あなたの声を聞きたいと通い詰める私を嘲笑うかのように、沈黙を貫いていました。
雨がしとしとと、墓石へと降り注ぐ。
まるで、涙一つ流すことが出来ない私の代わりに、空が泣いているようでした。
『空が泣く』
9/17/2024, 12:22:46 AM