中宮雷火

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⚠今回の物語は少しばかり過激な内容(いわゆるグロい系)のものを取り扱っております。
苦手な方・不安な方は次回作を楽しみにしていただけると幸いです。














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午後3時。
用事を終えて帰路に着いた。
午後3時、鬱陶しい日脚、薄汚れたビルの路地を進み、レンガ造りのアパートへと向かった。
階段を上がっていると、同じアパートの住人とすれ違った。
ここに住む人々は少し冷たくて、
すれ違っただけで鋭い目を向けてくる。 
僕は気にせずに軽く会釈をした。

鍵を開けて自宅に入ると、生臭い匂いが鼻を刺激した。
ああ、『ゴミ』捨ててなかったっけ。
今晩捨てに行こう。
あと消臭スプレーで臭い消しとこう。
そんなことを考えながら、僕は壁掛けカレンダーに×印を書き込んだ。
その後日記を開き、昨日の夕方からのことを書き込んだ。
窓が北に付いているので、部屋には日差しが入りにくい。
でも、それでいいと思う。
暗いほうが好きだ。

午後8時。
僕は『ゴミ』を捨てに山の中へ入った。
スコップで地面に穴を開け、ある程度の大きさになったら『ゴミ』を埋める。
そしてまた土を被せる。
ここ5年ほど、これが一種のルーティンになっている。
『ゴミ』を埋め終えたので、また新しい『ゴミ』を見つけに行こうと思う。

午前4時。
はあ。
『ゴミ』を扱っていたら汚れてしまった。
顔も服も汚れているではないか。
まあ、黒い服を着ているから大丈夫だけど。
僕は手袋をナイロン袋に入れた。
赤い液体が床にポトッと垂れた。
さっき処理した『ゴミ』を黒いゴミ袋に入れ、その上に腰掛けた。
僕は、すっかり枯れてしまった命の上で足を組みながら考えた。
カレンダーに×印つけとかなきゃなぁ。

9/11/2024, 2:28:41 PM