【終わらない問い】
海沿いの道を歩く。
夜の潮風がジャケットの裾をふわりと揺らし、遠くで船の汽笛が響いた。
仕事帰り、ふたりは缶ビールを片手に防波堤へ腰を下ろす。
街の光が波に砕けて、ゆらゆらと揺れていた。
「なあ、人生って結局なんやろうな。」
突然の重たい問いも、相手は笑って受け流す。
「知らんわ。けどまあ、こうして飲めるんやったら十分やろ。」
「それはそう。」
いつの間にか笑い声が2つ重なっていた。
空には星。潮のにおい。
遠くを走る車のエンジン音。
大切な答えなんか出なくても、この瞬間がしっかり心に残る気がした。
「明日も変わらん一日やとしてもさ、悪くはないやんな。」
「最高とは言えへんけどな。まあ、楽しくやっていこうぜ。」
2人は缶を軽くぶつけて、一口飲んだ。
終わらない問いが夜空に溶ける。
波が打ち返しても、笑い声はずっと止まらなかった。
10/26/2025, 9:43:45 PM