今日3月13日は、ナチス=ドイツによるオーストリア併合の日。
(侵攻や宣言のタイミングで12日または14日とされることもありますが)
ドイツのお隣でドイツ語を話すけれど、ドイツ人より歩くのが遅くて、音楽とリンツァートルテを愛する優雅な国……なんて、ずいぶんとお気楽なイメージをながいこと持っていた。
ときに、ミュンヘンに移り住む前のヒトラーが故国オーストリアで画家を志していたというのは有名な話だ。
彼の絵を評価することは難しい。良いとも好きともうまいとも言えない。そこには絵がどうこうよりも、作品を肯定して、彼のなしたことも肯定したように思われてはたまらない、という危機感が大いに働いている。
ヒトラーがウィーンで絵はがきを描き続けていたら、第二次世界大戦は起きなかっただろうか。
いま、彼が1914年に描いた「ミュンヘンのアルター・ホーフ中庭」を見ながらこれを書いている。
夕暮れ。ライラック色の空と、苔むした古い宮殿。タレットの屋根の影が中庭にやわらかく伸びている。時が止まったように静謐な眺め。
ここには確かに、ミュンヘンの平穏な日常が切り取られているのに。
(愛と平和/平穏な日常)
3/13/2024, 9:48:51 AM