ススキ
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
「なにそれ」
「幽霊見たと思ったら枯れたススキだった、っていうしょうもない話」
「ふーん。オレたちの話みたいにしょうもないね」
「喧嘩売ってんのか後輩??」
怖いと思っているものも、ちゃんと見れば案外つまらないものなんだよって意味だっけ。スマホの予測変換でもこれが出てくるから、かなり有名な言葉なんだろう。あれ、これ、私のスマホだけかな?
なんでこんな話になったのかと言うと、私の双子の弟が大量のススキを抱えてやって来たからだ。
「どうしたの、そのススキ」
「生えてたから採ってきた」
「そんなにススキ好きだったっけ?」
「いや、別に」
「えぇ……」
「うちにいっぱい飾ってたもんね」
聞いたところによると、ススキは縁起物らしい。稲穂に見立てて神様への奉納品に愛用されていたとか。なるほどなー。どうりで私たちの実家でいっぱい飾ってたわけだ。いやね、うち元々神社だからさ……。
案外、弟も実家が懐かしくなって両手いっぱいのススキを採ってきたのかもしれない。
結局、私と弟と後輩の3人でススキを分けて各々の家(私の場合は下宿先)で飾ることにした。
飾った次の日から、同じ下宿人のひとりが頻繁にくしゃみするようになった。
もしかして:花粉症
(いつもの3人シリーズ)
11/10/2024, 10:54:09 AM