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必ず辿り着くのだと
人は星を指し示した
遠い遠い昔々に
人が辿り着けなかった夢だった
今なら己なら先人の知識があるのなら
必ず辿り着くと人は言った

それでいい、と天を見上げた

誰かの夢が導になり
誰かの意思が道になり
誰かの執念が炎になる
そうしてそうして進んだ先に
希望という光が灯り
未来が確かに開かれる
結末が星と語られる
そうして満天を埋めていく
その意志こそが星になる

‹星になる›


遠い遠い地平の向こう
重く鳴り響く鐘の音
高い高い壁の向こう
ざわめき止まぬ民衆の音
風を渡って鳴り響く
君の為の鐘の音
葉擦れの音の隙間に響く
君に贈られた祝福の声
草むらの中で草葉の陰で
そっとそっと そっと祈った
もう二度と見えぬ君へ

‹遠い鐘の音›


粉雪の上をさらさらと
長い裾が流れていく
牡丹雪の中をふわふわと
長いベールが流れていく
化粧も笑みも一つもなく
素のままの美しい顔で
白い道をさらさらと
花嫁が歩いていく
白い空間にふわふわと
花だけが色付いている
恋も愛も一つもなく
先に待つヒトに嫁いでいく
白い雪がさらさらと
白い雪がふわふわと
帰り道を塞いでいく
帰り道を消していく

‹スノー›

12/14/2025, 12:18:45 PM