ミキミヤ

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10月のはじめ。
昔から冷え性の私は、朝晩が冷えるようになりジワジワと冬が近づいてくるこの時期の朝は、いつも少し憂鬱だった。


「おはよう、アキちゃん。あれっ、もう冬服なんだね」

毎日登下校を共にする幼馴染のカナちゃんは、開口一番少し驚いた顔でそう言った。

「おはよ、カナちゃん。そうだよ。だって最近朝晩寒いじゃん。私は衣替えの時期を待っていたのよ……」
「アキちゃんはほんと冷え性だねぇ」

腕を擦り震えるふりをしながら答えると、カナちゃんは苦笑した。
そんなカナちゃんはまだ夏服のスカートに長袖シャツといった感じだ。対する私は冬服で、ブレザーもきっちり着ている。
最近は、朝晩が少し冷えるようになって、夏服ではつらい季節がやってきたと私は感じていた。だから、衣替え移行期間初日の今日、バッチリ衣替えを完了してきたのである。

学校への道を2人並んで歩く。
先週末にあった小テストの話、昨日のテレビの話、好きな漫画の話、お互いの家族の話……とりとめのない話をしながら進んでいく。
毎日話していても、話題はなかなか尽きないもので、2人で歩く道は楽しい。
学校へ続く上り坂は、日当たりが良く、今の季節は心地良く感じる。
学校に近づくにつれて、同じ学校の生徒の姿が増えてきた。半袖だったり長袖だったり、夏服だったり冬服だったり、今朝は様々だけど、いつもと変わらず賑やかだった。

校門をくぐり、昇降口を入って、階段を上がる。2年生の階に着いたところで、クラスが違うカナちゃんとはおわかれだ。

「じゃあ、また放課後にね!」「うん、また!」

手を軽く振ってそれぞれの教室へ。
クラスの友達と挨拶を交わしながら、自分の席に向かった。
私の席は窓際で、柔らかく日が差してきて暖かい。
私はブレザーを脱ぎ、椅子の背に掛けてから席に着いた。


チャイムが鳴って、朝のホームルームが始まる。
憂鬱は、いつの間にか消えていた。

10/22/2024, 2:39:26 PM