真っ暗な海。わずかな月と星の光だけ。人工的な灯りがないと、人ってこんなに見えない物なんだね。
あなたと二人、他には誰もいない。
幸せだ、と思う。幸せを、噛みしめる。
第一印象は最悪だった。ひたすらヘラヘラしてて「何コイツ、頭悪そう」って思った。
でも、それはあなたの人の良さだった。裏表なく、人に忖度する事もなく。人の裏を読む事もなく。
ただひたすら、あなたは「良い人」だった。
だから、一緒にいて楽。私も飾らず、気を遣わず、ありのままでいられる。
どんどんあなたに惹かれた。ホントに人を好きになるって、こんな気持なんだ、と解った。結婚願望のない私が、生まれて初めて結婚も悪くないかも、と思えた。
あれから色んな事があったよね。沢山の場所に行ったよね。全部が思い出。
人が良いだけに、馬鹿な女に騙されて、私と別れようとした事もあったね。
忖度出来ないとか、裏表がないとか······ホントはただ気が付かないだけの、周りが見えていない、ホントに頭が悪い人だと気付いてしまった事とか。
でも、全部過去の事。それも又思い出。
だつて、それでも、それでも。好きだから。
ずっと一緒にいたい。二人だけでずっと。
誰にも邪魔されず、二人だけの世界で。
今からはもう二人だけだよ。この暗さが全ての痕跡を隠してくれるから。
8/15/2024, 1:21:50 PM