青空のトビウオ

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遠い日の記憶

何十年経ってもどうしても頭から離れない事がある

小学6年生の冬
犬の散歩でいつも通り川の土手沿いを歩いていた
思い出すと いつもと少し違ったのは
その時間に同じく犬の散歩をしている人が
少なかった事

けれど冬と言っても16時頃
暗いわけでもない

ただいつも通り
犬と走ったり歩いたり止まったり
後ろ脚で蹴る土をかけられるのを笑って避けたり


そのうち向こう側から自転車に乗った中学生が来た

すれ違いざまに見たその人は
私の友達で 同級生男子のお兄さんだった

ただすれ違った それだけ

の、はずが

少し進んで犬が振り向くので 私も後ろを向くと
通り過ぎたその人が戻ってくる

嫌な予感がした
でも友達のお兄さんだ

気づいていない素振りで土手の反対側へまわる
そちら側の土手は整備されていない

私の思い過ごしであれば ただ何か忘れ物をしたとか
そんな事のはず
それに整備されていないこちら側の土手を
自転車で通る人はいない

のに、 来た

おかしい

怖くなった私は土手から田んぼのあぜ道に降り
更にその奥の畑に入り込み
更にさらに槙の木の植え込みの間をくぐり抜け
道路に出た

偶然にもそこで
サッカーの練習帰りのその人の弟
つまり、私の友達 数人と鉢合わせた

私はその友達の名前を呼んだ

その時 私の後ろから友達のお兄さんが出てきたのだ

どう見てもそんな所から自転車で出てくるのはおかしい
誰が見てもわかる

私がその友達を呼び止めた時
つまり その兄弟は 顔を見合わせたわけだ

助かった
そう思った

6年生で まだ性的な事などほぼ知識がなかったが
あの時逃げていなかったら
弟の方と鉢合わせていなかったら

私はどうなっていたかと思うと
今でもゾッとする



7/17/2024, 2:14:06 PM