月と紅茶とタイプライター

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「あ、ちょうちょだ!」

 帰り道、川沿いの道を歩いていると、幼い女の子の声で、そう叫ぶように言うのが聞こえてきた。声のする方を見ると、確かに白いものがひらひらと空中に舞っているのが見える。少し眺めていると、それはこちらに近づいてきた。モンシロチョウだ。

 懐かしいな、と思う。私も小さい頃はさっきの女の子のように蝶々を見ては声を張り上げ、追いかけ回したものだった。

 いつからだろう、蝶々が近くを飛んでいても気にも留めなくなったのは。昔のように追いかけ回すとまではいかなくとも、たまにはゆっくり、空を飛ぶ蝶々を眺めてもいいかもしれない。

 私はしばらくその場に立ったまま、その蝶の自由気ままな踊りの観客になったのだった。


お題『モンシロチョウ』

5/11/2026, 10:10:04 AM