トモさん

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夏送り

誰しもが ゆびをもっていること
しけったマッチを擦り 筒先に火をつけ 
火花の果てしなく溢れでること

梢におもたく 水銀をまとった葉の
終わらないはずの季節を見送り
他人の呼吸をのどに滾らせながら
夏と夏のつなぎ目に
人差しゆびを引っ掛けて

鎖をひとつ編むには 
今日を終わらせることが必要だから
折れたマッチを積み上げた
黄色いそらのくらさに ゆびを突き立て
ころがった光の礫を よる、と呼んだ

(タイミング)

7/29/2025, 10:22:23 PM