Largo giocoso

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『変わらないものはない』


この世に変化しないものはない。

地球は常に回り続け、宇宙も常に拡張し続けている。
でも、どこかに必ず始まりがあり、終わりがある。

これだけは、変わらないと確信してもいいと思う。

だが、始まりがあり、終わりがあることで変化していることも否めない。

道端に生えている花に焦点を当てたとしても、
その近くに生えている別の花、もしくはもう枯れて土になったかもしれない花、どちらにせよ、その花が存在しているのはその他の花が命を紡いだからだ。

命を紡ぐことで、終わりを、永遠の最期にしていない。

形、姿を変えるだけで存在の欠片自体はどこかにあり、たとえそれがほとんどゼロになったとしても変化し続けていることには違いない。


ただ、ただ、

この目の前に居る人がもう、二度と目を覚まさないことがないことは、変わらない。

僕が、何度呼びかけても返事しないことも変わらない。

変化というものは、本当に残酷だ。

彼女1人が死んだからと言って、地球が止まるわけでも、隕石が降ってくるわけでもない。

いつの間にか、人々は彼女のことを忘れ、僕もいずれは死に、彼女の存在が後世に永遠と語り続けられるのはほぼ不可能だ。

仮にあったとしても、それは永遠には続かない。

彼女がいたから、会えたから、僕は変われたのに。

これだと、また、イチからだ。


地球は、宇宙は、僕達は、これからも、今、この一瞬も何か絶えず変化する。

彼女の死も、そのひとつに過ぎないと分かっていても、

辛いものは、辛いんだよ。

もう、お前に二度と会えないのが。


お願いだから、もう一度、笑っておくれよ。

もう一度、その優しい声で呼びかけてくれよ。

もう一度、その暖かかった手で、僕を、抱きしめておくれよ。


もう一度、もう一度───…………。


そう願っても、冷たくなった彼女の体に変化が起こるわけない。

いくら星に願ったって叶わない。


それが、現実だ。

12/26/2022, 1:10:53 PM