かのこ

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『優越感、劣等感』2023.07.13

 後輩であり、仲間であり、親友であり、弟分的存在である彼と一緒にいると優越感。
 別に驕っている訳ではない。いや、少しはあるかもしれない。無きにしも非ずというやつだ。
 彼は最近話題の人物で、色んな作品に引っ張りだこである。
 そんな彼の初舞台を支えたのが俺だし、頼ってきたのも俺だった。
 つまり、彼が未熟だった頃を知っている。
 彼はああ見えて繊細で気難しいところがあるから、業界の人間の中には煙たがるやつもいる。それは別にどうでも良い。
 そんな繊細で気難しい彼の弱い部分を知っているのが「俺」である、という事実がたまらなく心地よく自慢したくなるのだ。
 ただ唯一あるとすれば、彼と同じ時間を生きていないこと。
 十年の差は大きく、彼が十歳の時は俺は二十歳。大人と子供である。
 だから、彼と同い年でかつ同じ高校だという彼の友人に劣等感を抱いてしまう。
 これは本人には絶対に言えない秘密の感情だ。

7/13/2023, 11:04:57 AM