祈ったところで無駄だ。
幼い頃からそう言われて育ってきた。祈る暇があるなら腕を磨けと、そう叩き込まれてきた。
だから人一倍努力した。拾ってくれたその恩返しがしたいと、必死に銃を構えた。
神なんていない。助けてくれたのはファザーだけ。道端で呻いていた私の手を取ったのは、ファザーだけだった。
でも今、私はその教えを捨てようとしている。
「神様、どうか」
いもしない神を思い、薄汚れた手術室の前で、手を組んで震えている。
「ファザーを助けて」
医者にかかる金はあった。でも医者は首を横に振った。成功の保証はない、と。
無力な私に残されたのは、ただ祈ることだけだ。
愚かな私はなんでもできる気でいた。本当に何もわかっていなかったのだ。できることをし尽くした後はただ、祈るしかないと知らなかった。
「助けてください」
目を覚ましたファザーは怒るだろうか。でもそれでいい。呆れて捨てられたっていい。もう一度ファザーと会えるのだったら、どうなってもかまわなかった。
4/14/2023, 10:26:51 AM